今回は予告通りシューズ選びについてのコラムです。
本題に入る前に、「皆さんは稼働中のランニングを何足おもちですか?」なんて質問や記事を
ランネットや雑誌「ランナーズ」を手掛けるアールビーズ社ではたまに見かけます。同社のスポンサーに
スポーツ用品メーカーがいるためスポンサーに媚びていかにも沢山のシューズを持ち合わせていないと
いけないが如く誘導しているのではと猜疑心が強い方は疑ってらっしゃることと思いますが実はそうでは
ないですよ。その辺は後々解説するとして、今回のコラムを書くにあたってメーカー名や商品名は内容を
分かり易くするため実名を使用いたします。しかし、掲載した商品の最新版をすべてチェックしている訳では
ないので、あくまでも「私が試し履きした当時の商品では」と言う但し書きが付いてまわることをご了解ください。
今回も長いコラムとなりそうですのでまずは結論から。
シューズ選びの重要な点は以下の3点です。
①自身の足形に合ったシューズを選ぶ。
②自身のプロネーションに合ったシューズを選ぶ。
③利用目的に合ったシューズを選ぶ。
では①から順に詳しく解説していきます。
足形とはシューズの中敷きの形や甲の部分の高さ等がどのようになっているかのことです。
メーカーからは同じ商品名でこの足形の違いから複数の商品をラインナップすることがあります。
例えば「通常版」と「ワイド版」と言ったラインナップのことです。
ここで難しいのはワイド版は通常版より幅が広いと言うだけで甲の高さが高いかどうかはケースバイケースです。
また、ワイドに関して絶対的な基準がある訳ではないので同じA社の商品でも「a」と言う商品のワイド版より「b」と言う
商品の通常版の方が幅が広いと言うことさえあり得ます。
勿論、メーカーが異なればこの辺はもっと混沌としてきます。
また、アディダス社やナイキ社の商品はスリムな足形の商品が多いと言うのが定説になっていましたが、両社とも
日本市場に投入している商品は日本人の平均的な足形を研究した成果を反映させてきているので定説に縛られる
ことなく試し履きされることをお勧めします。
では、なんで足形を合わせなければいけないのでしょうか?
幅が狭ければ、その分サイズが大きめのシューズにしてつま先が余っていても大は小を兼ねると言う考えでも良いのでは?
と言う疑問があると思います。
ところがそうはいかないランニングシューズの特徴があります。
シューズの裏側を見ると踵から土ふまずの辺りにプラスティックの補強材が入っているのが大半です。これは足裏に
余計なねじれ方向の力が加わらないようにするためのものです。この補強材があるためにつま先辺りで靴底が曲がる
ポイント(屈曲点と言う)が決まってきます。人間の足は親指の付根の盛り上がっているところで曲がる構造になっていますが
この親指の付根部分と靴の屈曲点の位置が合っていないと上手く地面を蹴ることが出来なくなるため、足形がしっかり合った
シューズを選ぶ必要が出てくるのです。
次にプロネーションについてです。
プロネーションとはなんでしょうか?
着地したときの脚の挙動のことを言います。脚が内側に倒れ込むことを「オーバープロネーション」。
逆に外側に倒れ込むことを「アンダープロネーション」。ほどんど内側にも外側にも倒れ込まないことを
「ナチュラル(もしくはニュートラル)プロネーションと言います。
自身がどのプロネーションなのか確かめる方法ですが肩幅より少し狭い間隔で立ち屈伸運動をします。
この時、膝が内側に寄る動きをする人はオーバープロネーションとなり、外側に移動する人はアンダー
プロネーションです。ほとんどどちらにもブレない人はナチュラルプロネーションとなります。
ナチュラルプロネーションの人は脚の関節に負担はかかりずらいのですが、アンダーとオーバーの人は
膝などに負荷がかかります。それを防ぐためにオーバープロネーションの人向けのシューズには土踏まず側
のクッションを固めにします。逆にアンダープロネーションの人向けのシューズは外側(小指側)を固めにします。その人のプロネーションと合ったシューズを選ばないと膝等の故障のリスクを高めてしまいますのでこの
特性を揃えるようにしましょう。そのシューズのプロネーション特性はメーカーHPで確認できる場合もあるのでチェックしてみてください。
最後に利用目的に合ったシューズに関してですがこれは練習メニューと密接に関係します。練習メニューに
関しては別の機会で詳しく述べることにして今回は軽く触れるに留めますが練習にはLSDや距離走などの
ようにスピードよりも距離を走ることに主眼を置いた練習やインターバル走などのようにスピードを主眼のおいた練習があります。練習メニューによって鍛えられる能力が変わってくるのですが走力はその様々な能力の最も能力が低い項目によって規定されるので自分の弱点をきちんと把握して弱点を克服しつつ総合的に能力を上げていく必要があります。つまり色々な練習メニューを取り入れることで速く走れるようになるのです。そこで、練習用のシューズでも長い距離を走る時用の少し重め(男子用で280g程度)のシューズで長い距離を走っても適度なクッションで足裏を保護してくれるものと、スピードを重視した練習用の軽め(男子用で240g程度)でスピードを上げてもシューズの重さが脚に負担にならないものを用意して練習メニューに合わせて履き替えると快適に練習ができます。更にレース用のシューズとしてフルマラソン等の距離の長いレース用として250g程度、10km程度の距離のレース用として200g程度のものを別途用意しておくと良いでしょう。また特殊な練習用としてトレラン用のシューズや雪道用のシューズ、裸足感覚のシューズなど特化したシューズがあるので必要に応じて購入するのが良いでしょう。こうなると4~8足ぐらいを持ち合わせることになってきます。因みに先に述べたシューズの重さですがミズノやニューバランス社製は最近とても軽量化が進んできているので先ほどの目安より軽い商品が多く出回っているようです。アシックス社はアルファーゲルという独自の衝撃吸収材を採用しているのですがこの素材が重たくてシューズの軽量化が進んでいないようです。スポーツ用品店で「初心者用のシューズを探しているんですけど」って店員に話すとかなりの確率でアシックス社のGT2000ニューヨークを薦められます。このシューズ、アルファーゲルをかなり大量に使用しているので320g程度の重たいシューズとなります。クッション性が優れているのは良いのですが初心者のように脚力がまだ十分に備わっていないときに重たいシューズを履くとその重さが脚に負担となってしまうので
アシックスであればDSトレーナーあたりを薦める店員の方が商品知識が高い店員と言えます。
最後に中敷きについて述べたいとおもいます。シューズを購入した時に付属しているなんのへんてつもない
中敷きは20g位です。既製品の中敷きは土踏まず部分のサポートや衝撃吸収の機能を持たせており1500円~5000円位の価格となっています。値段の差がほど性能の差があるとは言えません。重さも価格に関わらず50g位で変わりがありません。
プロネーションの項目で述べた様に各人の骨格に合わせてオーダーメイドの中敷きを制作してくれるサービスもあります。アンダープロネーションの人はアンダープロネーションの人向けのシューズがあまり商品として揃ってないのでこのオーダーメイドの中敷きで調整するのも良い方法ですがオーダーメイドと言うだけに価格も15000円は最低でも覚悟していないといけません。仙台近郊でも整体院でオーダーメイドのサービスを実施しているところがあるようですが、東京神保町に専門店があります。